2016年8月25日放送の「カンブリア宮殿」で、創業86年の老舗洋食レストランチェーン「つばめグリル」が紹介されていました。
今回の主人公は、その社長石倉 悠吉(いしくら ゆうきち)さんです。
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手作りへのこだわりと、実現する方法
つばめグリルを運営するつばめ社のこだわりは、鮮度にこだわった調理法。
看板商品ハンブルクステーキのミンチ肉はすべて当日挽いたもので、ソーセージやベーコン、そしてマヨネーズまで自社で手作りしています。
放送では、セントラルキッチン内で肉を挽く様子や、日付ごとにつり下げられたベーコンなどが紹介されていました。
通常大手チェーンでもよくある形の、セントラルキッチン。
各店舗の材料をまとめて加工し、店舗へ配送するための、いわゆる仕込み専門の場所です。
通常は加工専門のスタッフやおばちゃんたちが運営していることが多いのですが、つばめ社は違いました。
普段は店舗で働いている、各店舗の店長たちが週1回程度の持ち回りで運営しているのです。
※イメージ写真
社長の石倉さんの話では、
本来、最後の調理工程だけをやる料理人なんていなくて、みんな仕込みからやるものだが、実際は労働時間などの問題で難しい場合が多い。
だから持ち回りでその工程を経験してもらいつつ、手作りのこだわりも実現しているのだそうです。
鍋をふるって仕込みをしながらインタビューを受けていた店長さんは、ここまでやってるとこはなかなか無い、と誇らしげに語っていました。
週一程度とはいえ、すべての工程を見て関われるのは、モチベーション的にもいい効果を与えているのかもしれません。
毎朝の試食会
また、つばめグリルでは、毎朝ハンバーグの試食会をしています。
毎月ではなく、本当に毎朝。
なぜ毎朝か?というと、
日々仕入れる肉の状態によって、当然挽肉の状態も違うため、焼き加減などを調節するためだそうで、
コックコートを着た4人くらいのシェフたちが、この日の肉質や焼き加減について話していました。
鮮度にもこだわる
そんな、今でこそ絶大な人気と信頼を誇るつばめグリルですが、東京オリンピック後の不景気によるダメージも経験しています。
なんとか挽回しようと、その頃は前日に作っておいた料理を翌日提供前に温め直して提供という、効率化アップの方法で営業をしていたそうです。
これで徐々に売上は戻ってきたそうですが、石倉社長はどうしても納得できない日々を送っていたとのこと。
結局、最終的には売上の上がった効率化をやめてしまいます。
現在のやり方は効率はいいが、本当に美味しいのか?
自分が本当にやりたい商売か?
などと自問自答したり、地元・銀座の商店仲間に相談したりする中で、
「恥ずかしくない商売をしよう」、「嘘の無い、自分が本当にやりたい商売をしよう」と、調理法などすべてを変更。
経営方針を、効率よりも本当においしくていいものを出す、という”正直経営”に切り替えました。
そして現在の老舗つばめグリルの形が誕生します。
当然今では、ミンチは当日挽いていますし、店舗の場所にもこだわっています。
店舗は挽肉の鮮度が保てる首都圏にしか出店されていませんが、店舗を増やすことが目的ではなく、100年愛される会社になりたい、という理念からそうしているのだそうです。
弁当店をスタッフ育成につなげる
※イメージ写真
東京駅地下に弁当店を出店した、つばめグリル。
なぜ、駅地下の総菜店なのでしょうか。
別のレストランから転職してきたスタッフさんのインタビューで、その答えが垣間見えます。
彼は、調理場から売り場が見えるため、お客さんがどんな顔をして買うのかが見えるのでモチベーションにつながると話します。
また、昼食時には隣の弁当店のお弁当を食べて、研究もしています。
石倉社長は、ここを人材育成の場としても活用していたようです。
採算よりも信頼
以上、工程や考え方、人材育成など、各部分で、本当に効率よりも質にこだわっているのがわかります。
また、それによって社員のモチベーションも上がっているのを感じました。
効率がいいからと、美味しくないものを作って売りたい料理人はいませんよね。
石倉社長自身も、「採算はあまり考えていなかった」と言っていますし、嘘のない、正直経営を徹底することで、信頼が積み重なり、結果があとから付いてきたということかもしれません。
■番組情報
「カンブリア宮殿」
2016年8月25日 放送
熱狂的ファンを生む老舗洋食レストラン!
~嘘をつかない”正直経営”の全貌~
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2016/0825/