物件の原状回復費用、削減どころか回避できた話

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飲食店に限った話ではないですが、事務所、店舗などを解約する際に、物件や契約によっては「原状回復義務」というものがあります。
ざっくり言うと、読んで字のごとくですが「借りたときの状態に戻して引き渡す義務」です。

飲食店の場合の、原状回復費用の相場はざっと2〜5万円/坪程度と言われています。
例えば12坪程度の物件であれば、24〜60万円程度かかってくることになりますが、これはなかなかの大きな出費。

これから開店での改装ならいいのですが、例えば閉店や移転で退去する場合、売上にも繋がらず、単なる出費でしかないのでとても悲しいですね。

ただ、中には改装していたにも関わらず、原状回復をしなくてよくなったという事例もあります。

今回は店舗ではなくオフィス物件での事例ですが、そんな原状回復を回避できた事例をご紹介します。

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物件は古いマンションオフィス

筆者は別事業でウェブ集客支援の会社をやっているのですが、その事務所を借りようとオフィス物件を探していました。
といっても2〜3人でやっている小さな会社なので、オフィスビルなどではなく、マンションオフィスでもいいかなくらいのノリでした。

そんな中見つけたのが、渋谷からほど近い、1階のマンション物件。
1階と言っても坂がそばにあるので、場所によっては半地下です。
築30年以上経っており、場所のわりに割安だったので、即決になりました。

原状回復できる範囲で改装

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間取りは10畳程度のワンルーム+トイレとキッチン。
古いだけあって、お世辞にもキレイとは言えません。
会社ではデザイン業務も行っていたため、そのまま使うのも見栄え的によくないと、改装を決定。

内容としては、ワンルームのスペースに、トイレとキッチン部分を区切る壁とドアをつくり、床を板張りにしてもらいました。
その他サッシ周りなども床に合わせて装飾してもらい、それなりにおしゃれな内観になりました。

そして、これなら費用はかかっても、壁とドア、床をはがせば元通り原状回復も可能です。

移転のため退去が決まる

その後数年して、事業の都合で引っ越しをすることになりました。
ここで原状回復義務の話になります。

本来であれば自分たちで作ってもらった壁とドアを壊し、床板をはがして元どおりのワンルームにする必要があります。

ただ、たまたまですが、このときちょうど会社も変革期で、そこまでお金がありませんでした。
さてどうしよう、引っ越し費用もかかるし、新しい事務所の入居費用もバカにならない。

でも改装はしたけど、明らかに前よりもキレイになっている。

よし、一度、オーナーさんに相談してみよう!となり、訳を話してみました。

リノベーションのような効果

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ダメ元で話をしたオーナーさんへの相談ですが、中を見てもらうと、意外とすんなりOK。
確かに元の部屋よりも価値が上がっているので、このままでいいということになりました。
(改装の内容も単なる装飾ではなくて、ワンルームを1Kにして間取り自体の価値も上がっていたので、良かったのかも知れません。)

いやはや、そのときは本当に助かりました。

改装で価値が上がったということで、リノベーションしたような効果がでたということですね。

次の入居者は店舗

後日、久しぶりにその物件の前を通ってみました。
すると、入り口に大きな看板があります。入居者が決まったのでしょう。
よく見ると何かのショップのようです。

家賃についてはどう変わったのかはわかりませんが、元々居住用のワンルームマンションだった物件に、店舗テナントが入る。
おそらく保証金や敷金・手数料なども一般居住用よりは多く入ることでしょう。

こうして、オーナーさんにも若干のメリットになったこともあり、原状回復なしで、めでたしめでたしとなりました。

もちろん物件やオーナーさん、管理会社さんにもよりますので、絶対ではありませんが、このように内装をいじったことで、逆に価値が上がっているパターンもあります。

費用をかけて原状回復工事をする前に、一度相談してみるだけでも損はないのではないでしょうか。

※写真はイメージです