飲食店を居抜きで売却してわかった、造作譲渡で知っておくべき注意点13選

こんにちは、タキです。

飲食店経営の素人が、渋谷の雑居ビルで7年間飲食店経営をしていました。

このお店は、経営戦略上の理由から、2019年の冬に居抜きで売却したのですが、当然飲食店の売却なんて初めての経験。

すんなりいくと思っていたことが、全然いかなかったりして、かなり焦ったり勉強になったりしました。

自分への防備録もかねて、次に飲食店をやるときのためにも、書いておきたいと思い、
今回は飲食店を売却する時に、意外と知らなくてビックリすることや、気をつけておくべきことについてまとめました。

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意外と譲渡がダメな場合もある


飲食店の売却・譲渡といってもいくつか種類がありますが、僕は居抜きでの造作譲渡という形で、内装ごと売却しました。

スケルトンから作ったお店だったので、普通に閉店すると、スケルトンに戻すための工事などで「原状回復費」がかかるのもあり、閉店すると決めた時には真っ先に売却を考えました。

僕自身もお店を出す時に、スケルトン物件とは別に、居抜き物件もいくつか内見していたため、何となく想像もできてましたし、何よりイチから内装工事を入れるよりもリーズナブルだったので、条件さえ合えばすぐに買い手が見つかるだろうと何となく思っていたのもあります。

早速居抜き売却サービスをやっている業者さんに問い合わせして打ち合わせたのですが、最初に概要を聞いて驚いたところから、この居抜き売却は始まりました。

そう、思えば当たり前ですが、そもそも居抜き売却(造作譲渡)自体がダメな物件もある、ということだったのです。

理由としては主に、安全面のことが大きいようです。
僕らはスケルトンから作りましたが、そもそも居抜きで入った飲食店が、それをまた居抜きで売却するとなると、
設備が相当古くなっている可能性があり、セキュリティの面から結構嫌がられます。

オーナーさんも古い設備を隅から隅までチェックするのも大変ですし、万一それが原因で火事などが起きたら大ごとです。
雑居ビルなどだとなおさら。

 

また、オーナーさんも他の入居者や別のお知り合いなどから個人的に、ここの物件が空いたら教えてくれ、と言われていたりすることも多いそうです。

それに比べると、当然それほど親しくないイチ入居者が、原状回復費を避けるために居抜き売却(造作譲渡)をしたい、と言っても知ったこっちゃありません。

もちろん次の入居者が自動的に見つかるのは魅力的ですが、すでに声がかかっているような物件の場合は、そちらに回されてしまうことも多いようです。

そんな理由から、居抜き売却(造作譲渡)をそもそも許可していないオーナーさんも多いのだそうです。

リース品は買い上げが必要


飲食店を出店するときには初期費用が諸々かかりますが、大きな出費のひとつに厨房機器があります。

お店の規模にもよりますが、小さなお店でも新品であれば総額100万円以上はかかってくるため、リースで契約するお店も多いかと思います。

厨房機器リースは、毎月分割で厨房機器の初期費用を支払い、数年で支払いが終われば、あとは1年ごとに延長利用の費用として数万円を支払えば、そのまま使い続けられる仕組みです。
とてもありがたい仕組みですね。

ただ、リースということはつまりレンタルしているのと同じような状態のため、居抜き売却(造作譲渡)する場合には、一回自分たちで買い取る必要があるのです。

初期費用は支払い終わったのに、なぜ、と思うかもですが、そもそも買い取りの分割払いとはまた別で、自分たちのものになったわけではないので注意が必要です。

ただ、リース品の厨房機器の買い取り(買い上げ、というそうです)は一般的によく行われているものなので、買い取りは無理だから返せ、と言われることはまず無いでしょう。

リース品厨房機器の買い上げ価格の相場としては、毎年のリース延長利用料金の、3ヶ月分程度です。
毎年3万円払っていたとしたら、約10万円以内で買い上げができるイメージです。

とはいえこれも出費になるので、居抜き売却(造作譲渡)の金額設定の時に、含めて考えておく必要があります。

居抜き売却(造作譲渡)はいくつか方法がある


居抜き売却(造作譲渡)は一般的には、知人や卸業者さんなどの紹介で自分たちで契約や売却手続きをするか、
居抜き物件を扱う仲介会社に依頼するのが主な方法です。

それぞれのメリット・デメリットをまとめておきます。

1)知人や卸業者などに買いたい人を紹介してもらい、自分たちで売却手続きをする
メリット:
・知っている人の紹介なので、安心感がある
・仲介手数料が不要だったり、知り合い価格で激安で済む

デメリット:
・価格の提示や交渉対応、契約、売却費の回収など、やりとりをすべて自分でやる必要がある
・しっかり契約書を交わしておかないと、売却後の瑕疵担保責任などで揉める(瑕疵担保責任とは、隠れていた故障などが後から見つかった場合の責任をどちらが取るか、などということ)

2)居抜き物件を扱う仲介会社に依頼する
メリット:
・オーナーさんの許可さえ取れれば、ほぼ丸投げでOK
・自社で集客サイトなどを持っている場合が多く、買い手を広く探すことができる
・交渉や内見の対応、買い手のオーナーさんへの紹介、売却後のカギ渡しなどもすべて任せることができる

デメリット:
・手数料が割高(相場は売却価格の10%+税金など)、ただし成果報酬(物件が売れて初めて支払う)が多いです。
・書類などを最初にしっかり提出する必要がある

法人の場合、売却益にも消費税支払い義務がある

不動産自体は自分たちのものではないですが、中にある内装・造作は自分たちのものを売却することになるので、当然それは売上という扱いになり、消費税がかかります。

最初に売却価格を自分たちで設定しますが、消費税のことを含めて考えておかないと、手残りがその分減ってしまうので、注意が必要です。

備品は置いてっても置いてかなくても大丈夫


居抜きというと、いまお店にあるものをすべて差し出す必要があるように思いますが、意外と備品は不要な場合も多いようです。

造作譲渡、なので、厨房機器や内装、家具などは置いていく必要がありますが、僕らの場合はレジ用のipadや客席に追加設置していた家庭用ファンヒーターなどは持って帰ってOKということでした。

メルカリやヤフオクで売却して、資金の足しにするというのもアリですね。
もちろん置いていくと喜ばれるものがあれば、売却時に有利になるモノもあります。

家賃など条件の見直しもありえる

これは仲介会社とオーナーさんとのやりとりのタイミングにもよるのですが、意外と焦る案件です。

居抜き売却(造作譲渡)する時の流れが原因なのですが、まずは売却までの流れを見てください。

 

飲食店の居抜き売却までの流れ

1. 居抜き物件の仲介会社に依頼
2. 仲介会社が自社サイトなどに物件を掲載し、買い手を集める
3. 目星がついたら、物件オーナーさんに「買いたい人がいる」ということで相談
4. (ここで条件見直しが入ることがあります)オーナーさんの審査に通れば、無事契約
5. 明け渡し

 

概ねこんな流れなのですが、注目すべきは手順4です。

買い手が見つかってからオーナーさんに話を持って行くことになるので、その時点で家賃などの条件が変わってしまうことがあります。

買い手からすると買うと決めた内容から条件が変わってしまうことになるので、最悪購入を保留されてしまうことにもなりかねません。

そもそも、なぜこの順番なのかというと、入居者が、買い手がいない状態で「居抜き売却したい」と言ってもほぼ無理だからです。

オーナーさんとしては自分の物件なので、売った時の状態で戻ってくれば、それをまた貸し出すなり、売却するなり、することができます。

でも、入居者の飲食店が、(原状回復費を出したくない・または出せないので)居抜き売却したくて、これから買い手をさがします、と言っても、それはオーナーさんには関係のない話ですし、
そもそも賃貸借契約書にもほとんどの場合で原状回復義務について書かれているので、本来は元に戻す必要があります。

そのため、立て付けとして、まだお店は営業しているが、買いたい人が現れたから売却を考えている、ということで進めるのです。
(全部のお店そうとは限らないですが)

それによって買い手が見つかってから、条件が変わる、ということが発生したりします。

対策としては、買い手の人にあらかじめ、若干条件見直しがある可能性がある、という事情を伝えておくのが良いかと思います。

意外に管理会社の担当者さんのマンパワーでいけたりする

造作譲渡について色々と厳しいことを書きましたが、結局はオーナーさん(法人も含む)の持ちものなので、オーナーさんや担当者のさじ加減で融通を利かせてくれることもあったりします。

特に不動産業界は、人と人のやりとりが特に重要なので、オーナーさんや担当者さんと良い空気・関係性を作っておくのはとても大事です。

基本的には契約し直しなので、保証金は戻ってくる

入居の時に支払った敷金はどうなるかというと、基本的に戻ってきます。

個人の賃貸住宅でもそうですが、敷金とは、入居時に預けておいて、退去時に修復や清掃で使った分を差し引いて戻ってくるお金ですよね。

居抜き売却(造作譲渡)の場合は、清掃や修復は当事者間の取り決めで問題無ければ、オーナーさんは基本的にノータッチになるので、敷金はそのまま戻ってくることが多いです。
ちょっとホッとしますね。

ただ、完全に買い手に引き渡しが終わった翌月などに処理されることが多いため、売却が済んでから1〜2ヶ月くらいかかることがあるので、そこは注意が必要です。

仲介業者さんの内装撮影が雑(笑)


これは半分ネタですが、居抜き物件の仲介業者さんに依頼すると、自社サイトなどで買い手を探す時に使う内装写真を撮影されるのですが、これが結構雑で面白かったりします。(もちろん業者さんによります)

売る側としてはイスとテーブルを整えて、余計なゴミなどは隠してキレイに撮りたいと思うのですが、そんなところは関係無いみたいで、
自分たちのカバンや、書類、ゴミなどが雑然と転がっていても、そのままパシャパシャ撮影していかれます笑

居抜き物件の検索サイトなどを見たことがある人はわかるかもしれませんが、キレイに撮ることよりも、現状をそのまま見せる、というのが大切なのですね。

確かに、過度な期待を持って来られると、少し売却ハードルが上がりますよね。

あくまでも、必要な情報をありのままに、見せるのが重要なようです。

有線、電話回線、クレカ機材などは引き継がずすべて解約

有線、電話回線、クレジットカード端末など、月額で契約していたサービスがあるかと思いますが、これらは全て解約しておきます。
まれに契約を引き継ぐことがあるようですが、契約替えなどの手間を考えると、基本的には解約し、必要なものは物件の買い手が新たに契約する、というのが基本になります。

ただ、サービス契約時にレンタルした機材等(例えば優先のスピーカーなど)はそのまま使う場合もあるようなので、一度買い手と仲介者、そしてサービス提供業者に確認するのが良いかと思います。

ウェブ系ツールなども契約変えではなく、基本解約

クラウドのレジやグルメサイト、予約ツールなどもすべて解約します。
というか、引き継ぐと過去の情報も漏れたりしますし、色々と面倒なことが多く、良いことは特にありません。

ipadレジなども、引き渡しの前に、ちゃんとログアウトしておくのを忘れないようにしましょう。

売値は税込、手数料は税抜きなので、手取りが減る

先にも書きましたが、造作の売値を決めるときは、消費税と手数料のことを思い出してください。

基本的に希望の売値は税抜きで話が進みますが、売れた金額には消費税がかかります。

仲介業者に依頼する場合は手数料の支払いもあり、それにも消費税が乗ってくるので、売却益から結構手残りが減るはずです。

最初に、それらを差し引いた後にいくら手残りするのか、一度洗い出しておくのをオススメします。

手数料は後払い


居抜き売却(造作譲渡)を仲介業者さんに依頼する場合は、売上金は、買い手から仲介業者さんにまず入金されます。

そこから手数料を引いて、こちらに入金、、されるのではなくて、売上として一度全ての金額が入金されます。

手数料はその後、別途で支払うことになりますが、当然これにも消費税がかかります。

個人的には仲介業者さんに依頼するのがオススメ


以上、僕の経験をもとに、飲食店の居抜き売却(造作譲渡)でビックリしたことや注意点をご紹介しました。

僕らは仲介業者さんに依頼しましたが、個人的に知人に譲渡する人もいれば、卸業者さんから紹介してもらって売却するお店さんもあるようです。

特に酒屋さんや、最近ではグルメサイトなどネット系の業者さんが人材紹介もやってたりするので、話してみると紹介してくれたりします。

ただ彼らはそれが本業ではないため、基本的には紹介して終わりなので、やりとりや契約などはすべて自分でやる必要があります。

手数料などは取られないことがほとんどで、それは魅力的かもしれません。

 

ただ、僕の経験から言うと、仲介業者さん神です。

最初にオーナーさんに話さえできれば、買い手探しや内見対応、オーナーとのやりとり、契約、売上回収、引き渡しなどすべてお任せでOKなので、これは本当にたすかりました。

中には内見の時に値切ってきたりする人もいるようで、自分ですべてやるのは結構大変だと思います。

最初にオーナーさんに紹介してしまえば、後は言われた書類などを準備して待つだけ。

ほぼノン・ストレスで売却できたので、個人的には仲介業者さんに依頼するのをオススメします。

造作譲渡という仕組みを上手く使えば、飲食店を戦略的に撤退し、ある程度体力資金力を残した状態で改めて出店に繋げることもできます。

 

僕らも、こうした仕組みのおかげで、お店を移転・休店して体勢を立て直したり、業態を変えて再構築もできるので、飲食店の撤退が単にネガティブなものでは無くなりました。

店を閉める、売る、というのは一見ネガティブに見えますが、むしろ飲食店を続けるために、戦略的に活用していけると良いかと思います。

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