飲食店界隈でも「インバウンド対策」と言われて久しいですが、どんな対策をされているでしょうか。
ここ数年で訪日観光客が激増し、全国各地へ海外の観光客の方がやってきています。
普段の営業で忙しいと後回しになってしまいがちですが、最低限の準備をしておくことで、いざ訪日客が来店しても、慌てずに済みます。
インバウンド対策といっても、設備面や人材面まで色々とありますが、今回は最低限準備しておいたほうがよいであろう内容をご紹介します。
ほとんどが無料または低価格で簡単にできることがなので、やっておいて損はないかと思います。
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ここ数年で訪日観光客が激増
統計(JNTO推計値)では、2018年の訪日客数が史上初の3,000万人を突破。
政府は、2020年に4,000万人という目標達成に向けて施策を強化するということです。
2003年に政府がヴィジット・ジャパン・キャンペーンを始めた当初は、訪日客数が500万人台だったことを考えると実に6倍に伸びています。
東京オリンピック開催も控え、さらに増えていくだろうと考えられます。
参考:
https://statistics.jnto.go.jp/graph/#graph–inbound–travelers–transition
最低限やるべきインバウンド対策
インバウンド対策といっても色々ありますが、まずはできることから。
基本的には外国語サイトや海外の人が見ているサイトへの情報掲載、英語メニューの準備などがあります。
ひとつひとつ見ていきます。
- 英語メニューの準備
- 外国語版サイトの準備
- 訪日客が見るサイトへの情報掲載
- キャッシュレス対策
- その他 wifi、ハラールなど
英語メニューの準備
まずは英語版メニューの準備です。
「うちはお店の雰囲気が変わってしまうから、インバウンド集客は考えていない!」というお店さんもチラホラいるようですが、
先述のように、日本への興味は膨らんでおり、もう何度も来日している観光客もいます。
一度目は王道の観光地を巡るのですが、2度目以降はよりローカルな場所や、地元の人が行くようなお店に行きたくなるのは、世界共通。
実際、東京で言うと神楽坂や下北沢など、有名ではあるものの、観光地として売っていなかった街にも、海外の人が押し寄せています。
つまり、観光客とは縁がなかったお店さんにも、今後「来ちゃう」ことが考えられます。
そんなとき、英語メニューがあるだけで、対応のしやすさも大きく違ってきます。
英語メニューに必要なのは当然ですが、翻訳。
自分でできる人はいいのですが、食材など意外と専門的なワードも多いので、僕は外注してしまっています。
1文字当たりでコストも明確なので、オンラインの翻訳サービスなど結構おすすめです。
ちなみに、僕はGengoを使っています。
Gengo 2.6円〜/文字
Conyac 4.5円〜/文字
手順としては簡単で、上記のような業者さんに送れる日本語メニューを準備。
申込時に費用を確認してあとは待っていれば、メールで翻訳版が届く仕組みです。
もしパンフレットや自社サイトなどで、さらにガッツリと文章を翻訳してインバウンド向けに発信したい場合は、オンラインではなくリアルな翻訳代行業者を使うのも手です。
英語だけでなく、他言語も対応していたり、パンフまで作ってくれるなど、独自の強みを持っていたりするところもあるので、量が多い場合や、長期的にインバウンド対策に力を入れていく場合は、ありかと思います。
下記のようなサイトから見積も取れますので、まずは問い合わせてみるのも手かと思います。
外国語版サイトの準備
英語メニューができたら、海外向けサイトも準備しておくとよいかと思います。
といっても、ほとんどの飲食店さんが登録しているであろう「ぐるなび」に、標準で「外国語ページ編集機能」が付いていますので、まずはこれで十分かと思います。
日本語版サイトを自動的に翻訳して、ぐるなび海外版のフォーマットにしてくれていますので、
管理画面から「外国語ページ編集」を開いて、情報を確認するだけでOK。
現在、英語の他に、簡体字、繁体字、韓国語のページが生成されていて、下記サイトからたどることができます。
https://gurunavi.com/
(例:英語版)
ちなみに、お店の海外版URLは、ウェブサイトやブログに貼り付けておくなどして、必要に応じて案内すればOK。
このページで海外の人を集客するわけではないので、情報が間違っていなければ、まずは問題無いかと思います。
訪日客が見るサイトへの情報掲載
店舗で使う外国語メニュー、外国語版ウェブサイトが準備できたら、次は集客です。
訪日客が使うサイトがいくつかありますので、これに登録をしていきます。
インバウンドの人が使う主なサイトは以下のようなものがありますが、最低限やるべきこととしては、Tripadvisor(トリップアドバイザー)に登録しておけばOKかと思います。
世界中で利用されている、旅行に関するクチコミサイトです。
海外の人は当然食べログなどは使わないので、インバウンドを狙うなら登録必須のサイトです。
ところどころ英語入力をするところもありますが、基本的には日本語サイトで登録すれば、各国の言語へ自動変換してくれるので、まずは登録しておきましょう。
https://www.tripadvisor.jp/
※ユーザの言語サイトへ自動でジャンプします。
■百度地図(バイドゥマップ)
中国のGoogleMap的な位置づけのツールです。
とにかくユーザーが多いので、登録しておくことで中国からの訪日客向けには強いですが、現在システムの都合上、新規受付停止中だそうです。。
https://map.baidu.com/
※現在システムの都合上受付停止中
■SAVOR JAPAN ※有料
グルメサイト「ヒトサラ」が提供しているサービス。
インバウンド向けグルメサイトとしては業界1位です。
https://savorjapan.com/
その他
インバウンド対策で最低限やるべきこととして、メニューとウェブサイトの準備、そして集客窓口を用意しました。
あとはより満足度高く迎えることを考えると、以下のような設備もあると望ましいです。
訪日客だけに限らず、日本も今後どんどん多様化していきますし、長い目で見ると、どれもあって損はないかと思います。
キャッシュレス対策
最低限クレジット決済、可能であればQRコード決済もあるとなお良いかと思います。
特にAlipayやWeChatPayを導入すると、それだけで中国人に向けての集客アピールになると言われています。
クレジット決済会社で代理店になっているところが多いので、クレカ決済を導入済みであれば、一度問い合わせてみるとよいかと思います。
ちなみにWeChatPayはLINE PAYを導入していれば、すでに連携されていて、QRコードも同じものが使えます。
wifi
海外の携帯でも、無料wifi設備があることで、お店でもクチコミ投稿や検索ができます。
wifi設備が整ったら、観光庁に申請をすると「Japan.Free Wi-Fi」のステッカーがもらえます。
利用許可が出ると、観光庁のwifiスポット情報にも掲載されるので、それ自体がPRにもなりえます。
まずはできることから
最低限やるべきインバウンド対策を見てきましたが、もちろん、これだけでは不自由する場面もあるかもしれません。
英語メニューがあっても、結局多少英会話ができないと意思疎通できなかったり、イスラム圏の方々だとハラール対応しているかどうかなどの文化的な問題も出てくるかもしれません。
ただ、日本は先進国の中でも英語対応が遅れていると言われていますが、観光客自体はどんどん増えています。
これは避けられない流れでもありますので、まずは最低限上記のような準備をしておくことで、結局の所飲食店側も対応がスムーズになることは間違いありません。
最初にも書きましたが、インバウンドは想定していないというお店さんにも、今後海外からの観光客はどんどんやってきますし、日本の人口は減少に向かうので、やはり長い目で見ると今のうちから準備しておくのがよいかと思います。