お店を始めた当初は、とかく「美味しいものを出さねば」と味にばかり注力しがち。
もちろんおいしいのは大前提ですが、それは結局のところ、一回食べるまでは伝わりません。
「おいしければ、ちゃんと人気が出るから、名前なんて分かればいい」と思っている方は、要注意かもしれません。
多くの飲食店の中から運良く、うちのお店に来てくれたとしても、
その一押しメニューを頼まないまま、食事を済ませて帰ってしまうことだってあります。
当たり前ですが、まずはその美味しさに興味を持って、注文してもらうことが重要。
食べて「美味しい!」となるのは、その後です。
そんな、メニューに興味を持つための”入口”とも言えるのが「商品名」ですが、
商品の名前(商品以外にもありますが)を考えて、付けることを「ネーミング」といいます。
このネーミングによって、同じ商品でもまったく売れ行きが変わってきたりするのです。
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商品名を変えただけでバカ売れ!という事例は結構あります
飲食店のメニューではないですが、保湿ティッシュで大ヒットを飛ばした「鼻セレブ」という商品があります。
元々は「モイスチャーティッシュ」という名前で発売されましたが、あまり売れず。
商品としてはとても上質で新しいものでしたが、結局後から同様の商品を出した競合他社に抜かれてしまったそうです。
そこでブランドの再構築が行われ、
商品名を「鼻セレブ」と分かりやすく、親しみやすい(覚えやすい)ものに変更。
また、パッケージも当初のシンプルでおしゃれなものから、動物の「鼻」の写真を大胆にフィーチャーし、
かわいらしいものにしたところ、大ヒットとなったようです。
参考:http://www.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20071001/136471/
このように、おなじ商品でも名前と見せ方を変えるだけで、大化け・大売れする可能性を秘めています。
特に”食欲”という人間の本能に訴えかける飲食店では、
こういったネーミングで商品の魅力をうまく表現することで、ヒットに繋げることも可能なのではないでしょうか。
ポイントはそのメニューの「強み」を伝えること
一言で言ってしまうと、お客様が注文したくなるような、
そのメニューの「強み」「他にはない価値」を伝えるのがポイントです。
あくまで一例ですが、
他のお店よりも衣の食感に特徴があるトンカツであれば、
「サクサク」「ザクッと」などの言葉、
牛すじのやわらかさが強みの煮込み料理であれば、
「とろとろ」「じっくり煮込んだ」などの言葉を入れたりします。
もしくは調理にかけるこだわりや手間暇が強みであれば、
「1日タレに漬け込んだ 熟成チャーシュー」など。
成分やその効果を押したい場合は
「コラーゲンたっぷりの塩もつ鍋」などのネーミングもあります。
というように、効果を出すネーミングのためには、
自然と、各メニューの強みと、その見せ方を決める必要が出てきますね。
これが、とても重要になってくるわけです。
やりすぎ注意
もちろん、メニューにはそれぞれ強みがあると思いますが、
すべての商品に色々と言葉を盛り込むとどうなるでしょうか。
もし飲食店に入ってメニューを開いて、下記のメニューが並んでいたとしたら。
「じっくり煮込んだトロトロ牛すじ煮込み」
「1日タレに漬け込んだ熟成チャーシュー」
「コラーゲンたっぷりの塩もつ鍋」
・・・逆にひとつひとつがぼやけてしまいませんか?
メニューにズラズラと並んでいたら、”読む”という負担が生まれてしまい、
逆に敬遠される可能性もあるのです。
お腹が空いているときに、ごちゃごちゃした文章を読みたい人ってなかなかいませんよね。
ということで、コツとしては、お店の看板メニューや季節の一押しメニューなど、
まずは一度必ず食べてほしいメニューに施すのがおすすめです。
ただし、お店のコンセプトは忘れずに
ここで気をつけたいのが、いくら商品の強みが伝わるネーミングでも
お店のコンセプトから外れていては、意味がありません。
たとえば、男性向けにボリュームのある料理が売りのお店で、
「コラーゲンたっぷりの塩もつ鍋」
という、美容効果を示唆したネーミングでは、
お店のコンセプトや狙うべき客層とズレがあり、効果的とは言えないかもしれません。
(もちろん美容効果を求める男性を狙う、というのであればいいかもしれませんが)
まずはお店のコンセプトと、狙うべき客層を定め、
その人たちに響くような、効果的なネーミングをしていくことが重要です。